愛犬が突然足をかばうようにひょこひょこと歩き始めた、あまりにも突然な行動に不安になった飼い主様も多いのではないでしょうか?
実はその行動は、膝蓋骨脱臼(パテラ)によるものかもしれません。
パテラは重症化すると、激しい痛みと歩行障害を引き起こします。
今回はそんなパテラについて、原因や症状、治療法に至るまでを徹底解説していますので、あなたの愛犬が当てはまっていないか、最後までチェックしながら確認ください。
膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?
膝蓋骨脱臼は、犬の膝の関節で膝蓋骨(膝の「パテラ」とも言われる、膝にあるお皿の部分)が本来の位置からずれる病気です。この状態が起きると、犬は痛みを感じたり、歩き方がおかしくなったりします。
主に小型犬種、特に成長期の子犬に起こりやすく、70~80%は内側に脱臼することが多いです。ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーなど大型犬は、外側脱臼しやすい傾向があります。
パテラはどのようにして起こる?
膝蓋骨脱臼を引き起こす原因はさまざまですが、主には先天的なものと後天的なものに分けられます。
先天的な要因としては、骨の形成不全、靭帯の異常、または筋肉の不均衡などが挙げられます。
一方、後天的な要因としては、外傷や急激な運動、転びやすい状況、または高いジャンプなどが原因で起こることがあります。どちらのケースも、愛犬の歩行に影響を与え、時には激しい痛みを引き起こすことがあるため、注意が必要です。
このような症状は要注意!
膝蓋骨脱臼の症状は、無症状〜歩行硬軟な状態まで、その程度はグレード1からグレード4までに分けられます。
グレード1 | 正常な位置にあります。 膝蓋骨を手で押すとポジションから外れることがあっても、自然に元に戻る状態です。 無症状なケースも多く、稀に後ろ足を痛がるそぶりを見せたり、 スキップしている症状が見受けられます。 |
グレード2 | 正常な位置にあるが、膝を曲げると外れてしまう状態です。 手で押すと元に戻せるものの、頻繁に脱臼を繰り返します。 |
グレード3 | 常に外れている状態です。手で押すと元に戻せるものの、すぐに外れてしまいます。 歩行にも異常をきたすようになり、腰を落として歩いている、 後ろ足を引きずるように歩いている、などが症状として現れます。 |
グレード4 | 常に外れている状態、手で押しても元には戻りません。 骨の変形も起き、膝関節を伸ばすことができなくなり、 ほとんど地面に足をつけないようにして歩く素振りを見せます。 |
初期症状を見極めるのは難しいですが、愛犬が普段と異なる歩き方をしたり、
ジャンプをためらったりすることがあれば、膝蓋骨脱臼の兆候かもしれませんので、
注意が必要です。
治療法は?
軽度の場合は、抗炎症剤の服用をし安静にするといった保存的治療が選択されることもありますが、重度の場合や改善が見られない時は手術が必要となることもあります。
予防について
膝蓋骨脱臼自体の発生予防は遺伝的な要因もあり困難ですが、症状の進度を和らげるための予防は重要です。
一つは、肥満防止による体重管理です。過度な体重超過は膝への負担を増やすため、食事量の管理と適切な運動を行いましょう。
また、もし飼育環境がフローリングやタイルのように滑りやすい素材であった場合、膝にも負担がかかるので、愛犬が日常的に過ごす場所は、カーペットを敷くなどして滑りにくくしておきましょう。
他にも高いところからおりす動作も同様に負担をかけるため、スロープを設けるなどの対策も重要です。
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まとめ
愛犬の膝蓋骨脱臼は、遺伝的な問題や外傷など、さまざまな原因で起こる可能性があります。発症自体を防ぐことは難しいものの、症状を見逃さず、早期に適切な対応を取ることが重要です。飼育環境の改善でも負担軽減に繋がるため、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考にした記事・文献
AMERICAN KENNNEL CLUB
Luxating Patella: Causes, Symptoms, and Treatment
https://www.akc.org/expert-advice/health/luxating-patella-dog/
かつまペットクリニック
膝蓋骨脱臼についてお話します
https://katsuma-pc.jp/seikei/patellar.html
ぬのかわ犬猫病院
犬の膝蓋骨脱臼
https://www.nk-inuneko.com/case/r00012/