犬も花粉症になる?人間とは異なる症状と検査方法、対策について

犬も花粉症にかかることをご存知でしょうか?
春になると身体を痒そうに引っ掻いている、冬になるといつもしているくしゃみが突然収まった。
もし愛犬にこのような症状が見られるようなら、それは花粉症かもしれません。

今回は、人間とは異なる犬の花粉症の症状や、実際に愛犬が花粉症かを調べる方法、そして対応策までを幅広くご説明します。

花粉症とは

スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状を「花粉症」と呼び、医学用語では、「季節性アレルギー性鼻炎」と表記されます。
春のイメージが強いですが、実は冬以外の時期でも花粉は飛んでおり、ブタクサのような植物は秋に花粉を飛散させます。

症状としては、くしゃみ・鼻水・目の痒みなどが挙げられており、日本人の4人に1人が発症しています。
そんな花粉症ですが、実は犬にも花粉によるアレルギー症状は確認されています。
ただし症状の発症は、人間のそれとは少し異なりますので、よく確認しましょう。

人間との症状の違いは

犬はくしゃみや鼻水、目の痒みといった症状よりも、皮膚の痒みや発疹などの症状がよくみられます。

もしも愛犬に以下のような症状が特定の季節に発症していたり、または発症が落ち着く場合は、季節性のアレルギーである可能性が高いです。

・身体を掻いたり、痒みを止めようと壁や床に擦り付ける
・皮膚に発心や赤みが出ている(特に指先や耳先などの先端部)
・顔や耳などを掻きむしる
・目やにが増える

なりやすい犬種は?

Close-up portrait of a dog, french bulldog

花粉をアレルゲンとするアレルギー性の皮膚炎は、遺伝する可能性があると考えられています。フレンチ・ブルドッグ、ジャック・ラッセル・テリア、ラブラドール・レトリーバー、柴犬などが発症しやすい犬種とも言われています。

愛犬は花粉症?調べる方法

犬のアレルギーには、”食物アレルギー”、 “ノミアレルギー性皮膚炎”、 “アトピー性皮膚炎”の3種類に分かれています。
そのうち、花粉をアレルゲンとするアレルギー性の皮膚炎はアトピー性皮膚炎に該当します。

そして犬にとってアレルゲンとなり得る花粉のアレルゲンは ”キク科植物” ”イネ科植物 “ “樹木” の3種類が該当します。

キク科植物の代表的な品種:ヨモギ、ブタクサ
イネ科植物の代表的な品種:ホソムギ、カモガヤ、ハルガヤ
樹木の代表的な品種:ニホンスギ、シラカバ

愛犬がアレルギー持ちかを把握するためには『特異的IgE抗体検査』という検査を行います。
これはアレルギー反応を起こす血液中の抗体を検出する方法で、一度に複数のアレルゲンを調べられるのが特徴です。
検査費用は相場で2〜3万円程度になります。

結果が出るまでにおおよそ1〜2週間前後の期間を有します。
その理由として、実際の検査内容の分析等は外部の専門機関にて行われるケースが殆どだからです。
ただ、そもそもアレルゲン検査を受け付けていない病院も多いので、まずは自身のかかりつけ病院で検査が可能かを尋ねてみるといいでしょう。

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対策はあるのか

愛犬が花粉アレルギーだとわかったのであれば、反応を起こさないよう予防する事が大切です。

・花粉を持ち込まない
帰宅時の洋服には、花粉が多く付着しています。家に入る前に、叩くなどしてなるべく花粉を持ち込まないようにしましょう。

・こまめなブラッシング
花粉が飛び交う季節になると、愛犬自身にも花粉が付着しています。こまめなブラッシングを心がけて、皮膚や毛に付着した花粉を落としてあげましょう。

・散歩中に洋服を着せる
花粉の種類にもよりますが、飛散している時期に外出を全くしない、というのは現実的ではないでしょう。
ですので、皮膚に花粉が付くのを防ぐために、洋服を着せてあげるなどして保護しましょう。綿製品よりナイロン生地の方が付着がしづらい素材となっています。散歩後は洋服を叩き、家に花粉を持ち込ませないようにするのも大事です。

・散歩コースを変える・タイミングをずらす
なるべくアレルゲンの元となる植物の近くには近付けないよう、散歩コースを工夫するのも大切です。特にイネ科植物などは背が低いため、愛犬への影響が大きいので注意しましょう。
また、1日の中で花粉の飛散がピークを迎える時間が、日中と日暮れの夕方と言われています。早朝や夜のタイミングは比較的落ち着いている可能性があるため、症状の様子を見ながら、いつもと散歩の時間をずらすのもいいかもしれません。

まとめ

人間と症状は異なるものの、犬も花粉によるアレルギー反応を起こします。
そしてアレルギー疾患は基本的には完治しないといわれており、対象のアレルゲン物質をいかに避けるかが重要な療法になります。もしあなたの愛犬が本記事で記載したような症状に見舞われるようであれば、獣医師に相談のもと、検査及び適切な処置の相談を行うことをお勧めします。

参考にした記事・文献

KYOWA KIRIN
花粉症の基礎知識
https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/about/about.html

公益社団法人 全日本病院協会
みんなの医療ガイド 花粉症について
https://cutt.ly/rwixcfCw

犬におけるスギ花粉過敏症
佐々木 栄英 北川純 藤岡 透 鬼頭 克也 岩崎 利郎 坂口 雅弘 井上 栄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms1991/57/4/57_4_683/_pdf/-char/en

アニコム損害保険株式会社
花粉にも注意!犬のアレルギー性皮膚炎は春先から増加
https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/130319.pdf

松波動物病院メディカルセンター
アレルギー
http://www.matsunami.co.jp/petcare/petcaredog/caredog_13.html