犬のヒゲはカットしていい?人間と異なるヒゲの役割について解説

鼻や口の周りに生えている愛犬のヒゲですが、皆様は何のために生えているかご存知ですか?
トリミングをお願いする際に一緒にヒゲも切ってもらっている、ヒゲが長く感じ家のハサミでカットした。という経験をされた飼い主様も中にはいるかとは思いますが、実は犬のヒゲは人間と異なり、生活する上での重要な役割を担っていると言われています。

今回は、なぜ犬にヒゲが生えているのか、その役割と、切ることでのデメリットなども交えながら紹介していきます。

犬のヒゲの役割とは?

犬のヒゲは、体毛の中でも特別な機能を持っており、まるでセンサーのように、空気の流れを感じ取ったり、物と自分との距離を測る空間認識や身体のバランス調整など、生活において欠かせない役割を担っています。

そもそも、何故そのようなことができるのでしょうか。これは犬のヒゲの硬さと生え方にあります。
犬のヒゲは、ケラチンという人間の髪や爪と同じ成分でできており、体毛と比較すると硬い毛質となっています。
そして生え方に関しても、通常の体毛と異なり、皮膚の深部に刺さるように埋め込まれており、その根本には、接触に敏感な神経細胞が高濃度で存在しており、そこで受け取った刺激を神経細胞が感じ取り脳に伝達することで、認識できるようになっています。

長くなったヒゲ、切ってもいいの?

犬のヒゲですが、通常の毛と同じように、切っても伸びてきます。また、換毛期は年に二回程度あり、抜けて生え替わります。そのため、切ってしまったことで二度と生えてこない、ということはございません。
しかし以下の理由から、特別な事情がない限り、切らないことをお勧めいたします。
その理由をいくつか列挙します。

①不快に感じることがある
前述の通り、犬のヒゲには感覚があります。痛覚があるわけではないので、痛みを感じるわけではないのですが、切ることで不快な思いを感じますし、暴れてしまい怪我をする恐れもあります。場合によってはハサミに恐怖心を抱く可能性もあります。

②感覚の変化
前述の通り、ヒゲは重要な役割を担っています。ただし、ヒゲがないことで普段の生活が送れなくなる、といった大きな支障は生じません。犬は環境適応能力が高いため他の感覚で補うことができます。
しかし切ったことで感覚が変化し、物にぶつかってしまい怪我をした、といった可能性はゼロではありません。特に老犬になるにつれ、他の感覚機能も弱まっていくためその可能性が高まりますし、感覚が発達しきれていないパピー期も同様にリスクは上がります。

また暗闇などの視覚的感覚に頼りきれない場合においても、ヒゲの感覚で周囲の情報をキャッチしているため、それらが無くなると不安に感じるかもしれませんね。

③切るメリットが少ない
元々自然界において、自分たちでヒゲを切る、といった習慣はありません。換毛期に生え変わるなどして、適度に長さや量を保ってきました。そのためカットなどをしない状態が、本来の犬にとっては最適な状態なのです。
一方でヒゲを切るメリットとして、見た目をすっきりしたい、雰囲気を変えたい、などの外見的な理由が多く挙げられます。
清潔に保つことも飼い主様の役目ではありますが、ヒゲを切らずにできるのであればそれに越したことはないかもしれませんね。

まとめ 

いかがでしたでしょうか。中には、犬のヒゲによる感覚器官は退化してきているのではないか、といった説もありますが、
犬の脳内を調査したところ、触覚情報に関連する脳の領域の、実に40%近くが顔周辺に集中している、という研究結果もあり、少なくとも意味をなさない、ということはありません。
愛犬の状態に合わせ、その必要性について適切な判断ができるよう心がけていきましょう。

参考にした記事・文献

Pcycology Today Why Do Dogs Have Whiskers?
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/canine-corner/201109/why-do-dogs-have-whiskers

AMERICAN KENNEL CLUB Why Do Dogs Have Whiskers?
https://www.akc.org/expert-advice/family-dog/why-do-dogs-have-whiskers/