突然ですが、愛犬との日々の散歩、どの程度の頻度や時間、距離を設けているでしょうか?
・子犬の時から散歩の時間を変えていない
・家に帰ろうとすると抵抗してくる
・散歩終了後に家の中を走り回る
・あばらの肉が少しついてきている
もしこのようなケースが一つでも当てはまった場合、散歩時間が不足している可能性があります。
散歩は時間の確保だけでなく飼い主様自身の体力も必要になり、日々の生活の中でその確保が難しい日もあるかもしれません。
実際に、一般社団法人 ペットフード協会の調査による、犬を飼育する前に感じている不安点の上位に、犬のお世話や散歩時間の確保に不安を感じているというデータもあり、実際に飼われている方だけではなく、飼育検討をしている人も悩みを抱えています。
ただ、どの犬種でも散歩は必要であり、心身健康でいるためにも重要なこととなります。
今回は改めて、なぜ犬にとって散歩は必要なのか、どんなサインが出ていたら散歩不足なのか、犬種毎の必要な散歩時間までを紹介していきます。
既に犬を飼われている方は、愛犬が適切な距離や時間を確保できているか、不足している場合はその解消方法を知るきっかけにし、
飼育を検討している方は、自身のライフスタイルに合った犬種を選ぶ参考にしてください。
目次
犬にとっての散歩の必要性
犬種問わず、どんな犬でも、あらゆる点で毎日の散歩は必要不可欠です。その理由をご紹介します。
運動不足
運動不足に陥ると、健康観点から様々な問題が生じます。
最も影響が出やすいのは肥満です。人間と同じで、運動不足が続くと身体に脂肪が付き肥満になります。
皮下脂肪だけでなく、肺や心臓など内臓周りに蓄積される内臓脂肪が増えると、心臓への負担が増えたり、息切れがしやすくなったりします。
さらには、肥満は糖尿病になる可能性も高まります。糖尿病は、白内障や腎臓病、感染症などの様々な病気を併発しやすくなるため、とても厄介です。
他にも、散歩による足の動きは、足の付け根に近くにある腸の活動も同時に促すため、運動不足になると腸内活動の動きが低下し便秘にも繋がります。
室内犬だと、室内での運動で足りると思われがちですが、小型犬で毎日1〜2kmほどの運動量が必要と言われており、賄えていないケースも多くあります。
ストレス発散
犬は探索意欲が高い動物です。散歩中で感じる他の犬の匂いや日差し、生活音など外のあらゆる刺激に五感を使い触れることで、野生時代の本能から来る欲求を満たすことができます。
実際に、散歩をせずストレスを溜め込んでしまっている犬は、気性が荒くなり噛み癖などに発展することがあります。
適度な刺激を与え、運動不足だけでななく心理的にも健康に入れる状態を作ってあげることも大事です。
コミュニケーション
犬は元来、群れで生活をしてきた動物です。
散歩を通じ、他の犬や人との交流を増やすことで、上記のストレス発散だけではなく、愛犬の社交性を身につけることにも繋がります。
特に愛犬の社交性は、生後3〜4ヶ月までが最も身につきやすいと言われています。
吸収盛んな子犬期から、様々な犬や人とコミュニケーションを取る機会を作ってあげることが大切です。
ただし、感染症などのリスクを避けるためにも、ワクチン接種は必要回数行いましょう。
併せて読みたい:
致死率50%を超える感染症から、愛犬の身を守る混合ワクチンの重要性
狂犬病のワクチン接種は義務!費用と頻度、接種場所まで、まとめて解説
こんな態度は散歩不足の表れかも?
もし愛犬が、散歩の最中、または散歩帰宅後などに、このような態度や表情をしていたら、散歩不足の表れかもしれません。
・帰りたくない素振りを見せる
満足しておらずもっと散歩をしたい、という抵抗で立ち止まる行為は、最もわかりやすいサインの一つですね。
追加で散歩に行くなどして、その態度が解消されるか試してみましょう。
距離を変えても毎日同じ態度であれば、他の理由で立ち止まっている可能性があるかもしれません。
・息切れ
散歩終了時に、軽い息切れをしている様であれば、十分な散歩量が確保できたと言えます。
息切れをしていないから運動量が不足している、とは一概には言えないものの、一つの参考としてください。
但し、散歩開始すぐで息切れをし始める様であれば、肥満による心肺機能の低下の可能性もありますので、注意が必要です。
・帰宅後に家の中を走り回る、遊びを要求する
帰宅後に激しい動きや遊びを要求している場合、散歩時に発散しきれずに、それらで解消をしようとしている態度になります。
放置をし続けると、過活動と言われる、落ち着きや集中力がなく、行動が激しく制御できない状態へと発展する恐れもあるので、散歩中に解消してあげることが望ましいです。
・ムダ吠え、噛み癖がある、家具などのかじり癖やおもちゃの破壊癖が多い
これらはストレスが溜まっている典型的なサインです。そのストレスの原因がスキンシップ不足や環境変化などの可能性はあり、一概に散歩不足によるものだけとは断定しにくいです。
ですが、散歩時間を増やすことで、ストレス発散により緩和されることもありますので、日々の散歩の時間を少し増やすなどして様子をみてみましょう。
適切な回数や距離の目安は
これまで散歩の必要性や散歩不足のサインについて述べてきましたが、散歩の距離や時間、回数などはどの程度が最適なのでしょうか。
小型犬・中型犬・大型犬ごとに、それぞれの目安を紹介します。
・小型犬
回数は1日1~2回程度、1回あたり20~30分程度、距離は1~2kmを目安となります。
ただし小型犬の中でも3kg未満の超小型犬などは、骨格が細く、過度な散歩で足腰に負担がかかる恐れがあるため、愛犬の様子を見ながら時間や距離は調整してください。
逆に、小型犬の中でも、ボストンテリアやジャック・ラッセル・テリア、ミニチュアピンシャーやミニチュアシュナウザーなどは、活発で運動量を多く必要としている犬種なため、目安の時間や距離より多く必要な場合があります。
もし時間の確保が難しい場合は、散歩の道をあえて歩きにくい道(草むらや砂道、坂道など)を通るなどして、運動量を増やしてあげましょう。
ただし、その際には足や関節には十分配慮してください。
中型犬
回数は1日2回、1回あたりの散歩時間は30~40分程度距離は2~3kmを目安となります。
ただし、かつて牧羊や狩猟などで活躍していたボーダーコリーやビアデッド・コリーなどのコリー系、ポリッシュ・ローランド・シープドッグやピレニアン・シープドッグ、バセット・ハウンドなどの犬種はより運動量が必要となります。
運動量の多い小型犬同様、散歩の道をあえて歩きにくい道(草むらや砂道、坂道など)を通るなどを散歩コースに工夫を入れる他、走ることが何より好きなため、散歩中に少し走る動作を加えてみると、より発散されるかもしれません。
大型犬
回数は1日2~3回、1回あたりの散歩時間は30~60分程度距離は3~4kmを目安となります。
大型犬の場合はより距離が必要となります。しかし、体重も重く足や関節に負担がかかる可能性があるため、走るなどの動作は控えたほうがいいでしょう。
日々の時間が確保しづらい場合は、休日にドッグランを利用するなどし運動量の確保をしてあげることもいいかもしれません。
まとめ
散歩は健康維持だけでなく、ストレス発散や社会性をつけるためにも欠かせません。
気候状況や飼い主様自身の健康状態や予定の都合で、毎日必要な距離や時間を確保することは難しいかもしれません。
できれば毎日同じ運動量を確保することが望ましいものの、休日にいつもより長めの散歩をする、散歩の回数を普段より1回増やす、ドッグランを利用するなどして必要に応じ調整を行うことも大事なこととなります。
最近はペットシッターなども増えてきており、必要に応じて利用することもいいかもしれませんね。
愛犬がより心身ともに健康でいられるために、工夫をしながら日々の散歩を楽しんでいきましょう。
こちらも記事も参考にしてください
季節によって散歩の時間帯は変わる?夏のアスファルトから愛犬を守ろう
参考にした記事・文献
AMERICAN KENNEL CLUB
How Often Should You Walk Your Dog?
https://docs.google.com/document/d/1mwXoeZf_ztRYADWWCQ9FW88INrH6CR6y7TsH7oW3NO0/edit
How Much Exercise Does a Dog Need Every Day?
https://www.akc.org/expert-advice/health/how-much-exercise-does-dog-need/
3 Ways You Might Be Ruining Your Dog’s Walk
https://www.akc.org/expert-advice/training/ways-you-might-be-ruining-your-dogs-walk/
にじいろアニマルクリニック犬の糖尿病 治療や予防方法・おすすめの食事
https://nijiiro-animal.com/medical/general-about/diabetes/
Butch小さくてもしっかり体を動かしたい!運動量の多い犬種とは<小型犬編>
https://www.butch-japan.jp/archives/pecola/propermomentum-mediumdog
一般社団法人 日本ペットフード協会令和4年 全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data/chart2022/4.pdf