お尻を舐めているのは痒いからではない？肛門腺の炎症、重症化すると破裂の恐れも

トリミングサロンや動物病院に通っていると、肛門腺を絞るかどうか、スタッフの方に聞かれたことはありませんか？

絞る意味はある程度理解しているけれども、そもそも肛門腺とは何か、絞らないと愛犬の健康にどのような影響を及ぼすのか、その詳細までは知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、肛門線の役割や肛門腺にまつわる病気、ケアの方法について詳しくご紹介します。

1 肛門腺絞りとは？その目的について解説
2 肛門腺液の役割は？
3 3.肛門腺液が蓄積している？絞りだしたほうがいい愛犬の予兆は？
4 絞りださないとどうなる？
5 肛門腺絞りの頻度は？自宅でできる絞り方も紹介！
6 まとめ
7 参考

肛門腺絞りとは？その目的について解説

肛門腺絞りとは、肛門の両側にある肛門腺に蓄積された肛門腺液（こうもんせんえき）という悪臭のする分泌液を絞りだすことを指します。
通常は、この分泌物は排便と共に排出されることが多いです。しかし何かしらの理由で排出ができず蓄積してしまう場合は、あげたほうがいいのです。

肛門腺液の役割は？

そもそもなぜ、肛門腺に、悪臭のする分泌液が蓄積されるのでしょうか。
これには大きく２つの理由があると考えられています。

・個体の識別
犬は個体ごとに異なる特有の匂いを持っており、個体を識別するために使われています。
犬同士が互いのお尻を嗅ぎ合っている行動は、肛門腺の匂いを嗅いで相手の認識を行っているのです。

・マーキング、縄張り
前述の通り、個体別に異なる匂いを有しているため、マーキング目的で匂いを擦り付ける行為をします。

3.肛門腺液が蓄積している？絞りだしたほうがいい愛犬の予兆は？

愛犬が以下のような行動をしている場合、分泌液がうまく排出されておらず、肛門腺絞りを行った方がいい頃合いになっている可能性が高いです。

・お尻を頻繁に舐めるようになった
人間も身体の違和感を感じるとそこを気にするように、犬も同様に気にするような仕草をします。もし頻繁にお尻の周辺を舐めるなどの行為をしている場合は、兆候かもしれません。

・お尻を床に擦り付けるように歩く
お尻を床になすりつけて、違和感を解消しようとする仕草をします。最もわかりやすい兆候ですので、気づいた際は絞り出してあげましょう。

・分泌液がお尻から出ている
もしお尻が臭いのある液で濡れている場合は、分泌液が溢れ出ているかもしれませんので、絞りだすタイミングです。

・血便となって排便される
便の中、もしくはお尻周辺に血が混じっているようなら、肛門腺に異常が出ているかもしれません。ただし、血便は肛門腺だけが原因ではなく、胃や腸に問題がある場合もありますので、通院して特定しましょう。

絞りださないとどうなる？

肛門腺に分泌液が蓄積され続けると、お尻の周りが赤く腫れ上がるような症状がでます。この症状は肛門腺炎といい、肛門腺が異常を抱えているサインです。
症状の程度や獣医師の診察内容によって対応は異なりますが、分泌液に異常がない場合は肛門腺絞りで治療が終わるケースもあれば、抗生剤を投与し治療を行うケースがあります。
重症化するケースもあり、行き場をなくした肛門腺液が皮膚を圧迫し、やがて皮膚に穴を開けて飛び出してしまうケース(肛門腺破裂)があります。
その場合は肛門腺の洗浄、必要であれば肛門腺の外科的切除が行われる場合もあります。

肛門腺絞りの頻度は？自宅でできる絞り方も紹介！

肛門腺絞りの頻度の目安は、1ヶ月に1度程度となります。目安ですので、前述した予兆のような行動が見えた場合は、その頻度よりも前倒して絞ることをお勧めします。
肛門腺絞りは、やり方を覚えれば自宅でも行えます。以下手順に沿いながら行いましょう。

①尻尾をあげ、肛門が見えるようにします。

②時計で例えると、4時と8時の位置に肛門腺があります。中心に向かってやや上・手前方向にじわじわと力をかけ、押し出すように絞り出します。この時に勢いよく飛び出して
くる可能性があるので、ティッシュなどを被せて行うことをお勧めします。

③絞り出した後は、お尻を拭いてあげましょう。

肛門腺は、内臓の一部となりますので、力を強くかけると肛門腺炎にもつながる可能性があります。押す指が白くなるくらいだったら、力の入れ過ぎですので注意しましょう。

まとめ

肛門腺絞りを行う理由やその方法までご紹介してきましたが、もし仮に自身で上手くできない、分泌液が出てこないなど苦戦する場合は、トリミングサロンや動物病院でもお願いすることができます。
その際に、愛犬は蓄積しやすいかどうかも合わせて聞いてみると、頻度やケアの目安となります。
愛犬が健康でいられるようサポートしていきたいですね。