フードの量は結局どのくらい与えればいいのだろう?
年齢、体調、フードの種類によって変動するため、意外と最適な量を把握できていない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
パピー期の給餌量のまま成犬になっても同じ量を与えてしまい、獣医師さんから食事指導を受けるケースも、よくある事例の一つとして挙げられます。
愛犬の健康維持をしっかりサポートするため、犬に与える餌の量や頻度などを見ていきましょう。
目次
フードのあげ過ぎは“万病”の元?食べ過ぎにより発生する病気
給仕量が増えると、ただ太ってしまうだけでなく、命に関わる重大な病気を引き起こす可能性もあります。
糖尿病
人間がかかる生活習慣病の1つでもある糖尿病、実は犬にも発症することをご存知ですか?
血糖値をコントロールするホルモンの分泌機能に障害をきたし、重症化すると昏睡状態となり、最悪の場合は死に至るケースもあります。
また、白内障、腎臓病、感染症などの合併症を引き起こす可能性もあり、とても厄介な病気です。
〈症状の傾向〉
・大量に水を飲むようになった
・食べる量が増えた
・食べているのに体重が減少する
・おしっこの回数が多くなった
・お腹が膨らむ
クッシング症候群
聞き慣れない症状かと思いますが、一度発症すると完治が難しく、投薬治療を継続し続けなければならない疾患です。
感染症に対する抵抗力が弱くなり、膀胱炎や皮膚炎、その他感染症にかかりやすく、また治りづらくなります。
副腎皮質ホルモン(コルチゾール)と呼ばれるホルモンの過剰分泌が原因と言われております。糖尿病と一部類似した症状があるので、注意が必要です。
〈症状の傾向〉
・大量に水を飲むようになった
・食べる量が増えた
・毛艶が悪くなった
・おしっこの回数が多くなった
・お腹が膨らむ
・脱毛が激しくなった
胃拡張・胃捻転(いねんてん)
胃がねじれ、急激に全身状態が悪化する危険な病気です。
何らかの原因によって、胃が捻転し、周りの臓器が圧迫されたり、他の臓器や血管などが胃と共に捻転し、血液の循環を妨げてしまいます。
早めに処置(手術)をしなければ、高確率で命を落としてしまう恐ろしい疾患です。
1日1食の食生活をしていたり、一度に大量にフードを食べてしまったりといった理由で胃が急拡大すると、胃拡張・胃捻転が起こりやすくなります。
初期症状としては「さっきまで元気だったのに突然ようすがおかしくなった」ということが多いです。他にも、以下のような症状が急に見られたら注意です。
〈症状の傾向〉
・おなかが膨らんでいる
・粘膜(歯茎や舌の色)が青白い
・ハアハアと苦しそうな呼吸をしている
・空嘔吐、何度もえずく、オエオエして吐きたそうにする
2. あげな過ぎても良くない!フードが足りていない時の症状
一方で、給仕量が足りていない場合も同様に、犬の健康に悪影響を及ぼします。
低血糖症
血液に流れる糖分が不足したことにより生じる不調のことを低血糖症と呼びます。
与えるフードの量が不足し栄養が足らず、体への糖分の吸収が減少する「供給不足」もしくは何かしらの原因で大量に糖分を消費することで起こる「消費過多」の2つがあります。
一度に食べられる量が少ないパピー期に起こることが多く、食事の間隔があいてしまうと低血糖になりやすくなります。
そのため、食事回数を3~4回程度に増やし、空腹時の間隔をなるべく長くしないことが予防対策となります。
成犬の場合は、1食あたりに食べれる量が増えるため、1日2回程度が最適と言われています。
栄養失調
愛犬のダイエットのため、以前よりフードの量を減らしている場合、知らず知らずのうちに栄養失調になっているかもしれません。
量を減らすことで本来得られてたはずのタンパク質を含む栄養素が不足し、筋肉や皮膚などの生成に影響が生じます。
体温の維持が困難になり、病気にかかりやすくなってしまいます。量を減らすのではなく、適切な栄養素を取得することが重要となります。
ここまでで、フードの与え過ぎ、少な過ぎで起こる健康への影響、最適な量を与える重要性について理解したかと思いますが、
次項では、フードの適切な供給量について話したいと思います。
最適な量を知ろう!たったの3STEPで正しい量の計算方法を知る
たったの3STEPで、1日に与えるべきドッグフードの量が計算できます。一見難しく感じるかもしれませんが、難しい計算ではないので安心して取り組んでください。
STEP1.人間でいう ”基礎代謝” 〈RER〉を知ろう
RERとは、わんちゃんが適切な環境で安静にしている際の1日に必要なエネルギー量のことを指します。
関数電卓などをお持ちでない方は、0.75乗の計算は難しいかもしれません。
そこで、体重を3回かけた(体重[kg]×体重[kg]×体重[kg])数字に、
電卓の√(ルート)という記号を2回押すと、体重[kg]の0.75乗になります。
それでも、普段 √ などは中々使用する機会も少ないかと思いますので、1 kg 毎のRER一覧表も合わせて参考にしてください。
STEP2. 愛犬の1日に必要な”カロリー数” 〈DER〉を知ろう
先ほど計算したRERは、1日安静にした場合のケースで、実際は年齢や妊娠の有無、減量中などの愛犬の状態によって必要なカロリー数は変動するので適切な計算を行いましょう。
以下の表の中から、愛犬の状態にあった【活動係数】を、RERにかけてください。
STEP3. 必要カロリー量(DER)から適切なフード給与量を求めよう
ここまできたら後は簡単!必要カロリー量から1日に与える適切なフード給与量が計算できます。
与えるフードの100gあたりのエネルギー量[kcal] は、フードのパッケージ裏面の成分表部分に記載されているのがほとんどですので、確認してみましょう。
以上 3stepで、愛犬毎の適切な給餌量が計算ができます。
まとめ
愛犬の給餌量は、たった10g前後の過不足でも、健康に影響が出ることがあります。
そしてその最適量は、年齢、体重、体調や状態により変動するため、定期的な見直しが必要です。
大事な愛犬が健康でいるために、フード管理をしっかり行いましょう。
参考にした記事・文献
環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
飼い犬のためのペットフードガイドライン
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/full.pdf