みなさまは、真夏のアスファルトに触れたことはありますか?
恐らく多くの方が、熱くて触り続けられなかったのではないでしょうか。
実は、真夏のアスファルトは、熱を吸収し60度近くまで表面温度が上がります。
犬は人間と異なり、犬は犬用の靴などを履かせない限り、基本は裸足です。犬の肉球はアスファルトの熱に耐えられるようになっているのでしょうか。
今回の記事は、真夏のアスファルトがもたらす犬への弊害について説明をしていきます。
目次
1.アスファルトとは?なぜ熱を吸収するのか
そもそもアスファルトとはどういうものでしょうか。
アスファルトとは、主に石油を精製する際に出てくる炭化水素という化合物を主成分とする黒い固形物になります。
それらを砂利(じゃり)と砂を混ぜ合わせることで、普段歩いている道の舗装に使用されるものになります。
アスファルトは数時間で固まるため、工事などの手間が大幅にカットされるというメリットがある一方で、耐久性に劣り、また熱を溜め込みやすいというデメリットがあります。
そのため、アスファルトは真夏の日差しを吸収し表面温度が60度近くまで上がってしまうのです。
2.真夏のアスファルトを歩かせるのは危険
ここでは真夏の日中にアスファルトの道を歩かせる危険性について解説していきます。
火傷
人間に例えた時に、60度の道を裸足で歩き無傷でいられるでしょうか。多くの方が歩けずに断念をするか、歩き続けても火傷などの怪我を負う事になるでしょう。
これは犬も同様です。
肉球はあるものの、肉球の主な役割は衝撃吸収ですので、暑さへの強い耐性はありません実際に肉球を火傷してしまう事故は毎年発生しており、重症化し表皮が剥がれ落ちてしまうこともあります。
そして肉球はとても治療しづらい場所です。
足の裏だからという理由もありますが、肉球のもう一つの役割として、発汗・体温調節を行う機能があります。
そこを包帯等で塞いでしまうと、耳と舌でしか体温調節ができなくなるため、身体の不調をきたします。
そのため、怪我のリスクが多い昼間の時間帯の散歩は避けたほうが良いでしょう。
熱中症
犬も人間と同様、熱中症になります。
アスファルトは60度近くまで熱が上がることは前述しましたが、その熱の影響は火傷だけでなく体感温度も上昇させます。
こもった熱は表面から近い位置に滞留します。
犬の目線の高さだと、アスファルト温度が60度だった場合は体感温度が40度近くなり、人間が感じている温度よりも10度近く上がると言われています。
そのため、想像以上に体温の急激な上昇が起き、脱水症状や血圧の低下が起き、悪化すると死に至るケースもあります。
普段より呼吸数や心拍数が高い、ぼうっとしてふらついている、自分から水を飲もうとしないなどの症状がある場合は特に注意が必要です。
3.いつ散歩に行けばいい?夏の時期の散歩推奨時刻
これまで夏の日中の散歩の危険性について述べましたが、具体的に何時であれば散歩に行っても問題ないのでしょうか。
実はアスファルトは日中蓄積した熱を夜に放熱する、というもう一つの特徴があります。
夏の夜にジメジメするのはこれが理由です。
そのため、日没の19時近くとなっても40度以上の熱を保持しております。
火傷は、高温で起こる火傷だけでなく、低温火傷のように、低い温度でも長く触れることで火傷に発展します。
その温度の目安は40度付近であるため、それを下回る日没後20〜21時頃から、明け方早朝までの間に行くことが望ましいです。
これらは日中気温が約30度における地面温度の変化図です。
気温変化に応じてグラフの形も変化しますので、例えば気温35度の場合、アスファルトの地表温度が40度を下回る時刻はその分短くなります。
まとめ
散歩は、健康維持やストレス発散にとっても重要です。ただ真夏の日中の散歩は、火傷や熱中症の恐れがありとても危険です。
それは愛犬だけではなく飼い主様自身も同様です。
運動量が多く必要な犬種などは、時刻の制限があると散歩に行きづらいこともあるかも知れませんが、不足分はおもちゃ遊びなどで解消してもいいかもしれませんね。
愛犬が健康にいられるために、アスファルトの危険性を把握していきましょう。
参考にした記事・文献
AMERICAN KENNEL CLUB
How Hot Is Too Hot for a Dog’s Paws?
https://www.akc.org/expert-advice/health/dog-paws-hot-pavement/
SBIいきいき短保【獣医師監修】犬の熱中症の見分け方~もしもの際の応急処置や治療法、予防策を紹介~
https://www.i-sedai.com/pet/column/dog/D0104.html
お天気ナビゲータ夏のお散歩は危険がいっぱい
https://s.n-kishou.co.jp/w/sp/road/osanpo_risk.html
株式会社ライズコンクリートとアスファルトの違い
https://cutt.ly/fwu0FCmk
書籍:地表面に近い大気の科学